Log / Life • 26th July 2026
衝動の夏
4日前くらいに切符を買って、昨晩予定を立てたシャルトル(Chartres)に向かう日帰り旅行の電車の中で記事を書いている。

生活に彩りがない。猛暑が過ぎ去った6月の末から体調をずっと崩していたのもある。まだ咳も少し出ている。仕事で忙しければそれはそれでひりつきがあるというか、充実しているのだけれど、最近はちょうどいい量の仕事をいただいていて、自分のペースでやりつつ、待ちつつ、たまに自分の書体やサイトを進めつつ、みたいな感じで生活している。変わり映えがしない。
そもそもパリに住んでいて友人も多くはない自分にとって、ご飯に行くとか、遊びに行く誘いがくることはないとはいえないが非常に稀だ。つまり、自分でアクションを起こさない限りは同じ日々が続いていく。
フランスではSolde(=セール)というシステムがある。在庫処分のセールは、夏と冬の政府に決められた期間でしか行ってはならないというルールだ。セールの時期が決まってるのはいい。プライムデーとかも重なっているので、フランスに移ってからというもの、この時期に靴や服をたくさん買ったり、買わなかったりしていた。今年は特に物欲がなくて、ちょっとした生活に必要なもの(Sodastreamとか、三脚とか、サーキュレーターとか)を買ったくらいで、他には大きな買い物はしなかった。この前BIRKENSTOCKのサンダルがボロボロになったので買い直したけど、それも必要に駆られてという感じ(しかも、セールになっていたものはサイズが合わず、結局定価)。

何が言いたいんだという感じだが、まあとにかく変化がない。かといって、じっくり何かを計画するのはいいけど疲れるし時間もかかる。だから、今年の夏はちょっとした思いつき、気持ち、衝動で行動してみている。誰かが生活を彩ってくれるのを待っても仕方がない。自分の生活は自分が彩らなければいけない。
生活は俺が彩る
— Masaki Ando (@wolphtype) July 22, 2026
思えばこの前書いた記事も割と衝動だったのかもしれん。ちょっと勢いで書き過ぎたかなと思いつつも、昨今見ているとやっぱり気持ちは変わらないなとも思っている。こっちの情報も知っていないといけないなとは思って、ニュースメディアのメール配信をサブスクした。まあ、それはさておき。
衝動一覧
衝動で保険に入り、メガネを買う
風邪を引いた時、結構長引いたので(というか今もだけど)病院に行くことを検討した。フランスには二種類の保険があって、全員が入る公的医療保険のSécurité Socialeと、任意で入ることができる補足医療保険のMutuelleがある。前者は受診をした時に3割程度を確か負担してくれるが、後者に入るとほとんど全額が払い戻され、契約者はほとんど払う必要がなくなる。
一般的にどこかに就職していていれば、会社で保険に入ってくれるのでファウンダリにいた時は加入していたものの、独立してからはまあいいかと思って入っていなかった。しかし、今年体調を何度か崩して、やはり安心のためにも入っておこうと思いAlanという前も契約していた保険に入り直した。まあ、月々30ユーロちょっとなら払える金額だし。
そして、フランスの素晴らしいところはメガネ、すなわちフレームとレンズもMutuelleなら保険が適用され大きく払い戻しを受けられる点だ。100% Santéというモデルならば全額払い戻しが受けられるし、そうでなくとも、自分の保険では2年に1回という制約がありつつも200ユーロの払い戻しを受けることができる。もらえるものはもらっておきたいので、メガネを作ることにした。(もっと早く知っていれば、会社に入っている時に作ったのに…とも思うけど)
今使っているメガネは2021年くらいに確か作ったもので、母親に譲り受けた金子眼鏡のフレームに自分のレンズを入れ直したものだ。これはこれで思い入れがあるのだけれど、ここ最近コーティングが剥がれてきて汚れも気になる。来週眼科に行って視力検査をし、処方箋を手に入れてそのあと眼鏡屋さんで作る予定。すでに気になるフレームはネットでチェックしているので来週が待ち遠しい。
衝動でPythonを始める
完全にやりきれているわけではないけれど、毎朝1時間は何かしらのリサーチに充てることにしていて、今週からはPythonのチュートリアルを始めた。主な目的はもちろん、Glyphsのスクリプトをちゃんと理解して書けるようになるため。元から既存の大曲さんとかMekkablueスクリプトを見ながら改変したりして簡単なマクロを書くことはあった。MATDではGlyphsの短期講習でRainerが来た際にスクリプトも扱っていて楽しかった。
一方で、ここ最近はClaudeに任せきりになっている。構想を伝えて、書いてもらって、試して、エラーが出たらTracebackを送り、想定していない動作をしていたらそれを伝え、修正をまた試し、etc…それを繰り返している。もちろんこれは進歩だ。一方で、自分がこういったことをしていて感じるのは、「思い描いているものが知らなくてもできてすげー!」というよりポジティブなものではない。多くのデベロッパーが試行錯誤を繰り返しながら作ってきて、それをオープンな形で公開しているノウハウやシステムを喰らって利用している先人への申し訳なさであり、それを無責任にGitHubで公開することへの申し訳なさの方がずっと強い。
もちろん自分がIllustratorやGlyphsの内部を知ってグラフィックやフォントを使っているわけではない。しかし、フォントの中身への理解は続けているし、理解が可能な範疇のものを諦めることはしたくない。結果として、今回Pythonの基礎をちゃんと学び直すことにした。簡潔ながら公式にチュートリアルが用意されていて、それをやっている。breakやcontinueで一瞬混乱するも、調べながら、ないし解説でAIの力を借りながら進めている。何より、Pythonの開発者の兄弟(Just van Rossum)が前職の同僚だったわけだし、胸をはってPythonを使いたい。
衝動で日帰り旅行をする
パリ近郊の街に、簡単な旅行をしたいと思っていた。こちらにきてからコペンハーゲン、ベルリン、ロンドン、ストラスブール、ニースetcとそれなりの旅行をしているものの、カンファレンスにかこつけてだったり、1週間弱くらいの期間だったりとやや重目のものが多い。これはまた別の記事で書きたいと思っているが、最近は雑旅行というピン留めだけしておいてアドリブで旅行をするというメソッドを確立しつつあるので、もっとライトに旅に行きたかった。
そんなことを言っているうちに仕事が忙しくなり、落ち着いたと思ったら熱波が来て、体調を崩し、ダラダラと日々が過ぎ去ってしまって。最近また涼しくなって来たので、今しかないと思ってシャルトルに向かっている。朝から晩までの予定だったけど、いざ調べてみたら半日でも十分そうだったので電車を一本遅らせて。うまく行ったらいろんなところに行きたい。
あと、フランスって街中は電波がそこそこ届くけど、電車に乗っていると圏外になることも多いので、本を読んだり記事を書くのにも集中できそうだ。

衝動でチューリッヒ行きTGVのチケットを取る
いきなり衝動のレベルがデカくなった。他の国はわからないが、少なくともイギリスとフランスでは、長距離の電車は料金が変動する。これは日本に住んでいると新鮮な感覚だ。というか、こっちは長距離の電車はだいたい1時間に1本とか、1日に数本とかなのにのぞみなんかは10分ごとに走っていてほとんど満席なのが怖すぎる。人口もあるけど日本が細長くてほぼ東海道・山陰新幹線とか東北新幹線に集約されてるからなんすかね。あとはえきねっととかで割引はあるかもしれないけど、まあとにかく一般的にフランスの電車は料金が変動する。
そんな中、フランスの国鉄であるSNCFのアプリから通知が飛んできた。2日間だけスイス行きのTGVが半額らしい。年始の今年のリストには、イタリアかスイスに行きたいと書いていたのを思い出した。いや、とはいえスイスはシャルトルと違って一大旅行ですよ。どうするか…
そう半日ほど思い悩んだ末、買ってしまった。9月の下旬、チューリッヒ、4泊5日。実際には初日は夜に着くので4日くらい。二等車で片道40ユーロ(8000円くらい)と言われたら、まあ買ってしまっても仕方がないだろう。4時間という長丁場なので一等車にしたものの、それでも65ユーロ。安い。現地の宿は多分Airbnb。
ちょうどチューリッヒデザインフェスティバルも開催されるらしい。グラフィック・デザイナないしタイプ・デザイナとしては一度スイスには行っておかねばという気持ちもあるし楽しみた。チューリッヒのおすすめスポットを教えてください。
衝動で音回りのプラグインとM-1 Headphonesを買う
この前墨とPathの雑談回を出した(アンケートが思ったより集まってないので、よかったら聞いて回答してもらえると嬉しいです)。んで、Podcastの音周りの調整が11回やってもまだ安定していない。ラウドネスという概念があって、要はそのファイル全体の音量感、音圧感みたいなものなのだが、各種サービスではだいたい-16, -14LUFSあたりを求められる。自分たちのものはなんとなく編集すると-21LUFSくらい。じゃあ音量を単純にあげればいいじゃんとなるのだが、シンプルに増幅したら笑い声とか大きい声の部分が0dBを超えて音が割れてしまう。それを抑えるためにリミッターやコンプレッサーを使いながら、大きい音を抑え、小さい音を大きくしていくがやりすぎると音が歪む。どうしろと、という感じ。
今まではAdobe Auditionの備え付けのプラグインと、いくつかRXのプラグインを使っていたがもうちょっと他の有料プラグインもみてみようと思い、結果WavesのC1 Compressor、CLA-2A Compressor、VU Metor、Vocal Riderというプラグインを買ってしまった。CLA-2Aコンプレッサーはいわゆる光学系というやつらしく音が柔らかくなるとかなんとか。まあ、普通にAuditionの標準のものでもいいと思うけど、衝動で。音周りのプラグインって常に大幅セールしているのも良くない。Vocal Riderは小さい音を大きく、大きい音を小さくしつつターゲットの音量に合わせてくれるもので、これはかなり良さそう。他におすすめあったら教えてください。

あと、本も二冊くらい買ったけれど、どちらも映像制作者のための整音の本で、参考になる場所はありつつもクリティカルな感じではなかった。結局YouTubeにあったライブが一番良かった。特にイコライザーのところなどは、自分はだいぶ楽をしていたなという印象。アンケートでも音量が小さいという意見があったので、ちゃんと整えていきたいところ。
そして、ヘッドホン。今使っているものはB&W Px7 S2eというもので、見た目もかっこいいし音もよくかなり満足している。一方で、密閉型という特性と、自分がメガネをつけているのもあって長時間使っていると、どうしても側圧で耳が痛くなってしまう。なので、いわゆるオンイヤー型のライトに使えるものも一つ持っておきたかった。
数年前に話題になっていたアシダ音響のヘッドホンも気になっていたのだが、ずっと品切れで買える見通しが立たない。そんな折に、Twitterでteenage engineeringのセールをやっているというツイートが流れてきて、1万くらいならまあ、という気持ちでM-1を買ってしまった。やっぱり1個くらい持っておきたい気持ちもありますし。リーズナブルなヘッドホンではありますが。
実家に届けているので受け取るのはもう少し先になりそうだけど楽しみにしている。マイクは多分使わないけど、出先のミーティングとかではいいかもしれない。
衝動も悪くない
こんな感じで衝動でいろんなことをしている昨今だった。抜けもあるかもしれない。堅実なこともやりつつ、ヨーロッパという土地でいろんな無茶ができるのは今だけなので今後も大事にしていきたい。破産はしないように。EWCも見に行きます。昔みたいに、もっと勢いで書体を作るのも良さそう。というか先月はASCIIくらいのライトなセットではあるが、2つくらい書体作ってた。
本当はいろんな人に衝動でヨーロッパに来てほしいけど、流石に円安がヤバすぎて簡単に言えることではない。1ユーロ150円、いや120円くらいになってほしいっすね。今後ともよしなに。